「耳に残るは君の歌声」孤児となった少女は耳に残る歌声をたよりに父を捜しロンドン、パリへ。激動の欧州を舞台に描かれた感動作

Photo by Léonard Cotte on Unsplash

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「耳に残るは君の歌声」

The Man Who Cried

2000年 (イギリス・フランス)

ポスター画像
(eiga.com)

孤児となった少女が耳に残る子守歌を手掛かりに
父を探してたどり着いたのはロンドン そしてパリ

激動のヨーロッパを舞台に
音楽によって結ばれ
戦争によって引き裂かれる人々を描く感動作

3作目の共演となる
クリスティーナ・リッチと
ジョニー・デップ
オペラ、東欧とロマの音楽を歌い奏でる
音楽家たちの競演も見どころ

staff &  cast

監督:サリー・ポッター
脚本:サリー・ポッター
音楽:オスバルド・ゴリホフ
撮影:サッシャ・ヴィエルニ
編集:エルヴェ・シュネイ

出演:

クリスティーナ・リッチ
ジョニー・デップ
ケイト・ブランシェット
ジョン・タトゥーロ
オレグ・ヤンコフスキー
クローディア・ランダー=デューク

あらすじ

1927年ロシア。ユダヤ人たちが住む貧しく小さな村。
母を亡くした少女フィゲレは父親と暮らし、教会歌手の父はいつも寝る前に、子守歌を歌ってくれました。

ある日父親は、いつか娘を呼び寄せる気持ちでアメリカに出稼ぎに行きます。
父の留守中、村は焼き討ちにあい、祖母によって逃がされます。港にたどり着くも一緒にアメリカに渡る青年とはぐれ、彼女は人の波に飲みこまれたまま船内に押されてしまいます。
船は出航し、着いた所はイギリスでした。

フィゲレは孤児とみなされイギリス人家庭の養女となりました。
スージーと呼ばれるようになった彼女は、言葉が分からず家庭でも学校でも馴染めず孤立します。お前はロマだといじめられたある日、学校のそばを通りかかったロマ族に向かって、父の子守歌を口ずさみます。それを聞いた教師がフィゲレの才能に気づき、レッスンを受けますが、厳しく発音の矯正をされてしまうのでした。

10年後、フィゲレは父親を捜すため養家を出て、まずパリでコーラスガールとして働きます。
同じロシア出身のローラと仲良くなり、パーティーの仕事に誘われます。
そこでフィゲレは、父の子守歌とよく似た旋律の歌を歌うオペラ歌手ダンテに引き寄せられ、白馬を操るロマ族の青年チェーザーと出会います。
夜のパリ、自転車に乗ったフィゲルは馬で走る彼らを見つけて追い、ロマの集落にたどり着き、歓迎されます。

一方ローラはオペラ歌手のダンテと恋人関係に。
フィゲレはローラと共にオペラの合唱役を手に入れます。しかしナチスがポーランドに侵攻し、世界情勢の悪化でオペラの上演が難しくなります。
父の子守歌に導かれるように流されるフィゲレ。
フランスが侵攻され、フィゲレとチェーザーにも危険が迫っていました。



「耳に残るは君の歌声」感想


5歳に満たないような子どもが1人、想像もできない不安を小さな身体に押し込めて、父親の写真だけしっかり掴み暗い船室で目を見開いている。
あまりにむごくて。


平日午前中上映一回目の映画館で、お客は私のようなおばちゃんばかり。
みんなハンカチを顔に当てて、館内は鼻をすする音でいっぱいでした。
小さな子があんな目に合っているを見るのは辛いです。
(最近だと「LION/ライオン~25年目のただいま~」とか)

唯一救いなのは乗った船がイギリス行だったこと。全部をイギリス流に変えようとするだろうけど、売られたりするよりずっといいので。

それからパリに渡り、父の歌と出会うのですが。。

オペラ歌手ダンテが歌う、「耳に残る君の歌声」(ビゼー「真珠採り」より)を聴いて父の歌声を思い出すシーンは、観ている自分の耳にも何か蘇ってくるような気がする、素晴らしいシーンでした。
(邦題はビゼーの曲名をそのままつかっているわけです)

そして、
英仏文化の中で自分を押し込めているように見えるフィゲレは、チェーザーと会い、東ヨーロッパの哀愁あるロマ族の音楽を聴いて、踊りあかし、彼女も歌います。
そのシーンもとにかく素晴らしい!
(その後後の場面についてはジョニデもあれは最悪と言ってたけど)

音楽、街並み、全てが美しい。

そしてフィゲレを抱いて涙を流し続けるチェーザー。

これから恐ろしい事が起きる、死ぬかもしれない。
分かっていても、フィゲレと別れて仲間の所に行く。
危険がせまる最後の夜、もう二度と会えない恋人を抱いて過ごす事。
彼はどんな気持ちで気持ちでと、
あたまがぐるぐるするばかりで。


ロシアの貧村を出て、ぼんやりした写真と、
耳に残る父の子守歌だけをたよりに彷徨う少女と、出会った人々の
激動の時代を背景に、とても悲しいけれどとても感動する名作です。

🎵 🎵 🎵

「耳に残るは君の歌声」は名作なのかそうでもないのか
(視聴済みのかた向け)

ただ名作映画、ヒューマン映画に入れる気にならず、
私にとって死ぬまでに見て欲しい作品、と思ったので別カテゴリーにしてみました。

でも、ちょっと感想を見て回ったら、けっこう不評も多いんですね。
たんたんと進む、フィゲレとチェーザーの描きかたが浅いなど。

私はめちゃくちゃ思い入れて観ていたかもですが。。。
侵攻されてしまうと全てが遅きに失すかもしれない、追い立てられるようにどうするか判断しなければならないのではと思う。
とにかく早く逃げて欲しいとはらはらしました。


小さな村で普通に暮らしているだけなのに、突然焼き討ちされ生きる場を失う。安全な場所と思ったのに、戦争が起き侵攻が始まると、またすぐに危険が迫る。
そんな恐ろしい事が突然起きてしまう人生、
歴史的に迫害を受け続けたひとびとが、代々何を伝え生き延びてきたのか、島国に住む人間には、想像を絶する事があるのではと思います。

ナチスのユダヤ人ジェノサイドは有名ですが、ナチス以前にもっとも反ユダヤ主義だったのが旧ソだそうですね。
フィゲレの村が襲われたとき、旧ソはスターリンの独裁政治が始まっていて特に反ユダヤ主義が高まった時だった。

チェーザーが属するロマ族も歴史的に虐げられ、ナチス時代にはユダヤ人と同じようにジェノサイドの対象にされてしまった。


ずっと迫害を受けてきたユダヤ人のフィゲレは、目立たず主張せず生きているように見えます。
一方、これでもかと歌い上げるのがダンテ。
フィゲレとまるで対照的に描かれているようで、ぐっと自分の中に押し込んでいるような彼女の静けさが、より強調されているように見えます。
(じつは公開映画館の情報誌にもそんなのが書いてあった)


フィゲレはひとりぼっちになった瞬間から、チェーザーと会うまでずっと泣かずに我慢していた。
原題は「The Man Who Cried
フィゲレのお父さんが、彼女の事を想いずっと泣いている。
そのお父さんの事をフィゲレも想い、耳に残る子守歌をたよりに、お父さんを探す事を諦めないフィゲレ。
そんな事を表すような原題なのですが、
男たちは泣く
フィゲレは我慢していた。
フィゲレはずっと、諦めなかったのだと思います。

🎵 🎵 🎵 🎵 🎵

俳優のすばらしさ

歴史ものは特に、並ぶとしっくりくる感じがするクリスティーナ・リッチとジョニー・デップのお二人です。
クリスティーナ・リッチはまさしくはまり役だ!と思うのですが、
この映画のジョニー・デップは、数ある出演作の中でも特に素晴らしいのではと思います。
なんと申しますか、ジョニー・デップが「ジョニー・デップ」を演じていなくて、いかにもロマ族のひとで佇んでいる。
そんなジョニー・デップ、ぜひ観て欲しい!
ジョニー・デップには、年齢からくるもの、アルコールの問題、を解決して欲しい!!


ローラ役のケイト・ブランシェットはパリの風景にぴったりでとても美しい。生き残るため、彼女は彼女なりの方法を駆使するのですが、時々そんな人生や自分にうんざりしているような表情を見せます。
だから、フィゲレの事を世話し助けたのでしょうか。
この映画で彼女もとても大切な存在です。

私は、彼女もユダヤ人だったのではと思いますが。。。

ダンテ役のジョン・タトゥーロ。
この作品を観た時は、このかたオペラ歌手だと思ってました!

そして馬
美しくて、人馬一体が素晴らしい。
チェーザーは前半まったく喋りません。
彼は馬で、挨拶したり誘ったりするのです。
パリの石畳を走る白馬が素敵です。

🎻 🎻 🎻 🎻 🎻 🎻 🎻 

音楽が素晴らしい「耳に残るは君の歌声」

ダンテのオペラ部分を歌っているのは、ミラノスカラ座で喝采をあびるテノール歌手サルヴァトール・リチートラ。プッチーニやヴェルディの豪華なオペラ曲が聞けます。
迫力がすごいわけですが、
なんといってもフィゲレがパリで最初に出会った「耳に残る君の歌声」
オペラのシーンとちがい、とてもしっとりして、フィゲレのこころ(耳)にしみ込んでいくような歌唱でいいなと思います。
おまけにその時のピアノ伴奏はラベック姉妹(懐かしい!)
それからイディッシュ語のお父さんの子守歌
、イディッシュ語の「耳に残るー」もこの方が歌っています。

「耳に残る君の歌声」はバージョンが違う3曲が入っています。
下で紹介する、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、クロノス・カルテットの曲も入った、とてもよくできたサウンドトラックです。

  ↓


耳に残るは君の歌声 オリジナル・サウンドトラック


そして、この映画がすごいのは、ルーマニア・ロマ族の楽団、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス(2001年来日)が出演し演奏していることですね。
彼らのシーンは、ちょっと音楽ドキュメントみたいです。


Band of Gypsies

クリスティーナ・リッチも、まるで歌っているように見えるのですが、そこもイヴァ・ビトヴァという方が歌っています。

オリジナル曲「セザールの歌」などはアルゼンチンの作曲家オスバルド・ゴリホフ作で、先鋭的弦楽四重奏団クロノス・カルテットが演奏していてこれも必聴です。


紫のけむり~現代の弦楽四重奏曲/クロノス・クァルテット

映像や登場人物と同じように、音楽からも真実が伝わる映画をつくろうとした、音楽プロデューサーでもあるサリー・ポッター監督。
まるでフィゲレのように、様々な音楽と出会ってこの作品ができあがったそうです。ぜひおすすめです!

視聴方法


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