「ひなぎく」あらすじと作品解説/今だからこそ観て欲しい!シュールで可愛い反逆ガールズシネマの決定版

(広告)


 

「ひなぎく」

Sedmikrásky
1966年 (チェコ・旧チェコスロバキア)

これこそが
女の子にとってカワイイ映画の決定版です。
やりたい放題好き放題。
おしゃれで汚くてアバンギャルド。
多くのクリエイターに影響を与えた、
社会主義政権下で描かれた自由そのものの女の子たち。
今だからこそ、
この映画をみなさんに観て欲しい!!

ポスター画像

〈eiga.com〉

「ひなぎく」cast & staff

監督/ヴェラ・ヒティロヴァ
脚本/ヴェラ・ヒティロヴァ
  エステル・クルンバホヴァ
音楽/イジー・ジュスト
  イジー・シュルトル
美術/エステル・クルンバホヴァ
  ヤロスラフ・クチェラ
撮影/ヤロスラフ・クチェラ


主演/
マリエ1…イヴァナ・カルバノヴァ
マリエ2…イトカ・ツェルホヴァ

〈予告編/シネマトゥデイ〉

「ひなぎく」あらすじ

回転するホイール、爆撃映像、
そして水着姿の女の子たちが人形のように座り込んで「どれも駄目」「全部駄目」と言葉を投げつける。二人は好き勝手にやろうと決め、年上の男性にたかったり、レストランで酔って騒いだりします。いたずら電話をしたり、蝶収集家の男性をからかったり。それでも退屈し空腹の二人はとある建物にあがり、豪華な料理が用意された会場を見つけます(党幹部の宴会らしい)。二人は料理を食べ散らかしたあげく、ケーキを投げ合いテーブルの上をランウェイのように歩き、めちゃくちゃにします。。。

「ひなぎく」作品解説・カワイイとはなにか
(ネタバレしています)

例えば女の子にとっての「カワイイ」に必要な事は、おしゃれとグロ。
被虐対象となった
グロではなく、
女の子から生まれるグロ。

「ひなぎく」は洋服や部屋が可愛くて、不道徳で汚いのです。
突然林檎の木の周りで踊るかと思えば部屋に落っこちる。
シュールな映像も満載です。
カラー映像かと思うとモノクロも混じり。
(それは外の世界の抑圧を表しています)
電話で男性をだましながら、バナナやキュウリをじょぎじょぎ切り、
蝶蒐集家の男性の部屋では。。。
(蝶の蒐集は束縛を表しています)
男性の事を翻弄しまくります。
とにかく男性は観ないほうがいいです。

ガールズシネマの金字塔として、
「ひなぎく」は50年にわたり、たくさんの女の子たちから支持されてきました。
グロ可愛くて、どこまでも傍若無人に散らかしまくる、女の子のエネルギーが詰まっています。


彼女たちが傍若無人の理由、
それは最初に言い捨てています。
「どれも駄目全部駄目」
彼女たちは、豊かになったかのように自由であるかのよう愛があるかのように取り繕った世界に対し、するどくダメ出しをし、嘘くさい世界をおしゃれとカワイイで破壊します。
でも嘘がわかる女の子たちは、簡単につぶされてしまいます。

「ひなぎく」社会背景

そして「ひなぎく」は、最後がとても衝撃的です。
最後、突然空爆の映像となり、

「踏みにじられた サラダだけを 可哀そうと思わない人たちに捧げる」

というテロップが流れるのです。

この文の意味が分からなくて頭を抱えてしまいました。
「だけ」と「思わない」をどうとっていいのか分かりません。
でもまあ、少女たちが踏みにじられた存在であるのは間違いないと解釈しました。
そして沢山のひとの自由が踏みにじられたはずだと。


映画のラストが特に衝撃的だったのは、
この作品が、
旧チェコスロヴァキアで1968年春から自由化を求め花開いた「プラハの春」より2年前に制作されていた事であり、
自由化運動がその年の8月には、旧ソ連・ワルシャワ条約機構の戦車が侵攻して終りを迎えたからでした。

「ひなぎく」は発禁処分となり、ヴェラ・ヒティロヴァ監督は7年間、活動を禁止されます。
西側はこの作品を高く評価し、日本では1991年に公開され、その後もリバイバル上映されたり、自主上映され続けている映画です。
私は2010年頃、小さなカフェで観ました。
これからもどこかで上映されるかもしれません。
見かけたら、ぜひ鑑賞してみてください。

ところで、

最後の言葉は誤訳だった!?

だそうで。

ほんとうは、

「サラダを 踏みにじられただけで 気分を害する人々に この映画を捧げる」
なのだそうです!

検閲にたいする皮肉だったのだ。

今こそ、
映画の中で、戦争に対する恐怖と戦い続けた、
ヴェラ・ヒティロヴァ監督の作品を観て欲しいと思います。

「ひなぎく」視聴方法


(2022年3月)現在、この作品は配信されていないため、購入になります。HDニューマスターでブルーレイ化もされているので、ぜひチェックしてみてください。


関連作品

この映画と並んで人気であるのは、「エコール」(2004年)ではないでしょうか。

(その他では、ヤン・シュヴァンクマイエルの「アリス」、ギレルモ・デル・トロの「パンズ・ラヴィリンス」などなど)


「ひなぎく」と「エコール」は女性監督の手によるという事もあり、女の子が好きな世界観の作品ですが、
「エコール」は状況がミステリアス、「わたしを離さないで」「約束のネバーランド」を彷彿させる設定です。
美しく飼育されるようで恐ろしい、「ひなぎく」とは対照的なカワイイ映画です。


エコール [DVD]


広告

📚

サロンドロワイヤル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください