英国BBC制作「ABC殺人事件」（全３話）アガサ・クリスティー作品は今、サラ・フェルプス脚色がすごい/※2022.1月追加情報あり

≪Retro Supply≫

「ABC殺人事件」

The ABC Murders
2018年（イギリス）

「ABC殺人事件」と言えば、エルキュール・ポアロが主人公の長編11作目、アガサ・クリスティーの著作の中でも評価が高い代表作のひとつです。

ドラマは昔の推理もの、というイメージで観た事がない方も多いのではと思いますが、2015年からまったく新しい演出のクリスティードラマが制作されました。

その中心にいるのが脚本家サラ・フェルプス。

そしてポアロ役はジョン・マルコヴィッチです。

このドラマのポアロはすっかり過去のひととなり孤独です。
暗い玄関にぽとりぽとりと落ちる殺人を予告する手紙。
警部に訴えますが相手にされません。
彼は排外主義にもさらされています。

すっかり変わってしまった状況、
でも彼の灰色の脳細胞は推理を始めます。

ロンドン警視庁警部役は「ハリー・ポッター」ロン役のルパート・グリント。
彼がいかにも若くていばってる警部でとてもいい！

ポアロ役と言えばなんと言ってもデヴィッド・スーシェですが、軽妙洒脱な彼の作品とまた違う、陰鬱な凝った映像でアガサの迷宮に引き込まれていきます。

≪osusume-kaigaidrama.blogspot.com≫

「ABC殺人事件」staff / cast

• 演出/ アレックス・ガバッシ
  脚色/ サラ・フェルプス
  原作/  アガサ・クリスティー「ABC殺人事件」（1936年）
• 出演/ ジョン・マルコヴィッチ　
  　　イーモン・ファレン
  　　 ルパート・グリント

「ABC」殺人事件 あらすじ

1933年ロンドン。
老いたポアロ（ジョン・マルコヴィッチ）に、「A.B.C」と署名された不気味な内容の手紙が届きます。

不安を覚えポアロはロンドン警視庁を訪ねますが、旧知のジャップ警部（ケビン・マクナリー）は引退し、後任は若く高慢なクローム警部（ルパート・グリント）。
ポアロの事をまったく相手にしません。

「A.B.C」から、イニシャル「A」アンドーヴァーの町名と日付が書かれた手紙が届きます。
ポアロが恐れたとおり、その日アンドーヴァーでイニシャル「A.A」アリス・アッシャーが殺され、そばには「ABC鉄道案内」が置かれていました。
「A.B.C」からの手紙は続き、今度はべクスヒルという町でベティ・バーナードが殺されてしまいます。
ポアロはベクスヒルに向かいますが、間に合いませんでした。
帰宅すると、彼を疑う警部の指示で家宅捜査が行われていました。

その頃、
ローズ・マーブリー（シャーリー・ヘンダーソン）の下宿屋にはアレキサンダー・ボナパルト・カスト（エイモン・ファレン）という名のセールスマンが滞在していました。

彼はアンドーヴァーでもベクスヒルでも、事件が起きる前に被害者宅に現れ、ストッキングのセールスをしていました。
タイプライターや「ABC鉄道案内」を下宿屋に持ち込み、謎めいた行動をとります。

手紙の予告通り、イニシャル「C.C」の事件も起き、警察は批判されます。

ポアロは3件の事件が自分に関りがあると気づき警部に伝えます。
クローム警部もポアロの意見を重要視するようになります。
しかし、D、Eと事件は起きてしまいます。。

「ABC殺人事件」作品解説

もっとも近いと称されたデヴィッド・スーシェとはあまりに違うポアロ像なので、スーシェ版が大好きな方には違和感を感じさせてしまうかもしれません。
ポアロが老いてヘイスティングスもジャップ警部もいないので寂しくなります。

この作品は、現代的なテーマで新たにドラマ化したポアロものと言えます。

ポアロにとって自分がベルギー人であるというのは、大切なアイデンティティのひとつですが、フェルプス版では排外主義が台頭し彼は露骨な差別に会います。
これは、現代の欧米社会で排外意識が高まったことが起因しているようです。
ドラマでは原作が出版された年より前の、イギリスファシスト党があった時代の設定になっています。

他にも原作ではポアロはベルギーで元警官でしたが、今作では司祭で、ドイツ侵攻時起きた耐えがたい過去に苦しめられているという設定です。

これまでの作品とはまったく違いますが、
アガサ・クリスティーのミステリーを、現代的な視点で事件を掘り下げたテーマを、ダークな映像でじっくり楽しむ事ができます。
オープニングの映像からもう、不気味で美しくてぞくぞくさせられます

ジョン・マルコヴィッチとルパート・グリントの配役には驚かされました。
ルパート・グリントは今年、俳優を辞めたいと発言してるみたいですが、できる事なら続けて欲しいと思いました。
嫌味な感じだけど実は自信がない新警部がとても良かったです。

下宿屋の女将役のシャーリー・ヘンダーソンも、ハリー・ポッターシリーズで”嘆きのマートル”役だった俳優さんです。

カスト役エイモン・ファレンは、「ツイン・ピークス/リミテッド・イベント・シリーズ」で子どもをひき逃げするひどい役でしたが、いわくあり過ぎに思わせてくれる個性的な俳優さんですね。

他のサラ・フェルプス脚色作品は？

英国BBC制作の、サラ・フェルプス脚色アガサ・クリスティードラマはこの他に4作あります。

「そして誰もいなくなった」（2015年）
「検察側の証人」（2016年）
「無実はさいなむ」（2018年）
「蒼ざめた馬」（2020年）　です。

この中で、2021年12月に視聴可能な作品は「そして誰もいなくなった」「蒼ざめた馬」「無実はさいなむ」
そして「ABC殺人事件」です。視聴方法を紹介します。

「ABC殺人事件」視聴方法

「ABC殺人事件」は、2015年アガサ・クリスティ生誕125年を記念し英国BBC Oneが制作したドラマの第2弾になります。

2019年にNHK BSで放送され、昨年暮れにも再放送されました。

AXNミステリーでも昨年末放送され、
今年も12月に「ABC殺人事件」と「蒼ざめた馬」「無実はさいなむ」が一回だけ放送されます。
あまり放送されない作品なので、あわてて紹介しております。

■AXNミステリー・・・日本で唯一のミステリーチャンネル

「ABC殺人事件」放送日　
　2021年12月17日（金）20：00ー第1話　21：00ー第2話　
　12月24日（金）20：00ー第3話

「蒼ざめた馬」放送日　
　2021年12月8日（水）20：00ー第1話　21：00ー第2話　※すぐです！

「無実はさいなむ」放送日　
　2021年12月15日（水）20：00ー第1話　21：00ー第2話　　
　12月22日（水）20：00ー第3話

　　　　（AXNミステリーサイト、番組表等でご確認下さい）

※↑AXNの配信は終了したので　最新情報は下に追記しています

■AXNミステリー視聴方法　

一番簡単なのはスカパーです↓　　

その他ではJcom ↓

ひかりtv 　や、auひかり　などでも

いつも視聴が大変そうな作品紹介が多くてすみません。
一番簡単そうなスカパー申し込みを紹介します。

「そして誰もいなくなった」（2015年）視聴方法

最後に、
「そして誰もいなくなった」はAmazon Prime Video で配信中です。
初めての方は、初月プライム会員トライアルがあるので無料で視聴できます。

一番、視聴が簡単そうな作品をなぜ最後に紹介しているかというと、
「ABC殺人事件」と「蒼ざめた馬」が一番おすすめしたいからでして・・💦
「蒼ざめた馬」は特に原作と違う脚色でオカルトチックです。

「そして誰もいなくなった」はサラ・フェルプス脚色の中でも、特に殺人の恐ろしさが迫ってくるように感じます。

サラ・フェルプス脚色を見てみたい方、
ダーククライムミステリー好きな方にはお勧めです。

Amazon Prime Video をチェックしてみる↓

「ABC殺人事件」を読む↓

（追記）※2022年1月「ABC殺人事件」最新情報

NHKBSで放送があるのでは？と思っていたのですが、
新年、放送されたのはWOWOWでした！😓

WOWOWオンデマンド（WOWOWの配信の事）では、2022年いっぱい、「ABC殺人事件」「無実はさいなむ」「検察側の証人」が配信されます。（字幕・吹替）（なぜか「蒼ざめた馬」はやらない）

「そして誰もいなくなった」も同じく今年いっぱい配信中です。
WOWOWについては、下記を参考にして下さい。

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