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LOST 人間失格
인간실격/No Longer Human
2021年(韓国制作ドラマ・全16話)

忘れ物
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≪2024年の配信情報です≫
演出/ホ・ジノ パク・ホンス 脚本/キム・ジヘ
出演/チョン・ドヨン リュ・ジュンヨル
きらきらした韓流ドラマのタイトルをスクロールしていたら、そこだけ暗くて「人間失格」なんて聞き捨てならないタイトルがあらわれたので、思わずクリック。演出が「八月のクリスマス」「四月の雪」のホ・ジノ監督じゃありませんか。これは観なくっちゃと視聴を始めました。(「四月の雪」も大好きなんですよ)
で、やっぱり掃除婦さんです。(正確には家事代行)
あらすじ
大手出版社で働いていたブジョン(チョン・ドヨン)は、不本意な事柄で退職を余儀なくされ、家族には事実を言えないまま家政婦として働いている。ブジョンの父と同じマンションに住んでいた役割代行業のガンジェ(リュ・ジュンヨル)は、バス停で泣いて父親に話す彼女を見かける。バスに乗っても泣き続けるブジョンを見て、ガンジュは客から貰ったハンカチを渡す。降車する彼の腕をブジョンは思わず掴む。違う世界で生きていた、何者にもなれなかった中年女と何者でもない若い男が吸い寄せられるように出会い、孤独な人間たちはゆっくり、ゆっくりと傷を埋めていく。
感想
(注意:ドラマの内容がちょこちょこと入り、ネタバレしています)
タイトルの、no longer human 。人間の資格がないって、まずすごいですね。
人間失格よりひどい!まあ、失格って資格がない事なのでしょうが、日本語で人間の資格って言い方はあまりしないからきつく感じるわけで、韓国では良く使われるか、違うニュアンスなのではと思います。(そもそもブジョンがいたのが人間の資格という出版社です 確か)
韓国ドラマってサスペンスものでも、ドラマの始めに登場人物がコメディタッチのやり取りをする事があるのですが、このドラマは最初も画面が暗く、ガンジェの表情が酷薄そうでとってもいいです。
登場人物の表情や視線をすくい物語が紡がれていく。丁寧な作りはさすがホ・ジノ監督!と言いたくなる映像の良さでした。
それからブジョンとガンジェの吐露、独白、のような語りやセリフが各話で入ります。相手を非難したり父親に向け語られたりするものなのですが、伝えられなかったものも多く、朗読というより独白のようです。それがブジョンとガンジェ、交互に語られます。その二人の声がとても良い。
そして独白のようでありながらブジョンとガンジェの心の中で、会話のように、行きかっているように、聞こえる。
ずっと聞いていたくなる、二人の声が素敵です。
でも、内容はとても重い。
落ち込んでいる時は、ほんとに観ないほうがいいと思う。前半はですね。
資格ってなんだろう
”先生 こんにちわ
先生と最後に会ったあの日から
ずっと人間の資格について考えています
誰かの家族 友人 同僚としてでない
1人の人間としての資格
自分の名前を懸けて ルールを守って生きていく
そういう人間だけに与えられる
世の中を評価し 非難し
怒り 絶望する資格
先生にはあり 私にはない
その資格についてです
でも先生
先生が言う その世界とは何で
その人間とは何でしょうか
そんなものがー 存在するのでしょうか”
(第1話より)
⇑これはブジョンが先生と呼ぶ、女優のアラン(パク・チヨン)に向けた中傷書き込みの一部です。ブジョンはアランのエッセイ本をゴーストライターとして執筆するも、アランの怒りをかい、企画から降ろされ出版社も退職します。(たぶん)
作家になりたいブジョンにとって、企画者としての名前も残せないのは耐え難い事です。しかも、私生活では流産し夫ジョンス(パク・ビョンウン)の裏切りにもあってしまう。
「人間の資格」というようには考えた事がなかったので、とても難しいです。
ブジョンの独白を聞くと、
自分はこれだという自信、誇り、アイデンティティ。社会的な地位、社会的な信用、それをバックに言える事、できる事
みたいな感じがします。
自分の自信や、これまで積み上げてきたものを全て失い、ブジョンはもう崩れ落ちそうです。アランにたいする嫌がらせで警察からも呼び出され、社会規範からも逸脱しそうでとても危うく見えます。
”「他の人」とは誰のことでしょうか
似たような服を着て
似たような物を食べて
似たような会話をして
似たような未来を描いて
似た者のフリをして生きるだけでは
足りないのでしょうか
どんな仕事なのか長い説明が必要ないー
誰もが知るそれなりの仕事をして
それなりの学校に通って
それなりの人と会い
それなりのことを考える人生
それが平凡な生き方なら
父さん 俺は この数年間ずっと
誰よりも早く 誰よりもサマになる
「他の人」になりたかったのかも知れません
何をすべきか分からず 捨ててしまった
その空白の時間をこっそり埋めて
前だけを見て生きてきた人の横に並ぶこと
他の人が住んでいる所に行く近道を
見つけることが 本当の成功だと
そう思って生きてきたのかもしれません
「他の人」になろうと思うのは
間違いでしょうか”
(第6話より)
⇑この独白もすごかった。これはガンジェが、幼馴染の親友タギ(ユ・スビン)の姉スンギョ(チョ・ウンジ)と朝食を食べた後の独白。
わたしは高校生の頃。前だけ見て生きて行く人の横に並ぼうと頑張ってたのだけど、そこらへんで付いていけなくなって、そしたら他の人の背中がどんどん遠くなって。まあそれも悪くないかと反対に走ってみるとかしたんですけど。(ちょっとガンジェ) 若い時そうなったので良かったかというとぜんぜんダメで、私も親に無理させたので、(ちょっとブジョン)なんかそれに見合うサマになることしなきゃと思ったり。
んで、なりたいサマになる「他の人」、の対極として、持ち出されやすいのが「掃除婦(夫)」なのかもしれない。掃除婦(夫)が違う世界の「他の人」でなく「自分」だったら楽なんでしょうけど。「PERFECT DAYS」の平山みたいに。
プジョンはどうかというと、そういう話にはなりません。まだ若いし、彼女は作家になりたいのだからまだまだ頑張ってみないとですね。お父さんともっとダンボール集めたら面白かったかもしれないけれど、それでは違う世界の話になるので。とにかく
これは、恋愛ドラマなのだ
これは恋愛ドラマなのです
”お父さん お父さん お父さん
私、失敗したみたいなの
私はだめな人間なの
誇りだなんて言わないで
私はそんな人間じゃないの 悪くなってる
ただ全てが悪くて 理由なんてないの
苦労して育ててくれたお父さんのために、
一生懸命努力したくても、
どう努力していいか分からない
何も出来なかった
この世に生まれて、何も出来なかった
結局、何も出来ない気がする
だから すごく孤独なの
お父さんもジョンスもいるのに
ただ すごく孤独なの
生きてる事が恥ずかしいの
私はお父さんより貧しくなる
もっと悪くなったらおとうさんが悲しむわよね
お父さん どうしたらいい?
私は・・・どうしたらいいの
私は人間の資格がない”
(第1話より)
とても辛い、ブジョンの、父チャンスク(パク・イナン)への告白。
何も出来ない、どんどん悪くなる、親より貧しくなる、孤独、孤独、孤独
この苦しみの中にいるひとって、けっこういると思う。
だから、プジョンには何か違うものを自分に見つけて欲しかった。
感情的なシーンはとてもいいのだけど、辛い言葉をこんなに発しておいて、それ以外は黙ってしまうから不満でした。
チョン・ドヨンさんならもっとできると思ったから。
このドラマは、母親像・女像が見えない
義母のミンジャ(シン・シネ)は苦労人で人情に厚い。ブジョンの父を追いかけたシーンは最高だったのだけど、だいたいは古いステレオタイプの姑。
アランがドラマで演技するシーンはすごく良いのに、保身のために手段を選ばない愚かな人物。DVというより殺人鬼のような夫を野放しにすべきではなかった。
ガンジェの母親ミソン(カン・ジウン)は子どもっぽくて、ブジョンの母は早くに亡くなっている。ガンジェもブジョンも父親ばかりに語り掛けている。
ストーリーもよく分らない事が多かった。ブジョンに起きた事がどう心ちゅうに重なっていったのかはっきりしなかった。心中してしまうガンジェの友達ジョンウ(ナ・ヒョヌ)とブジョンの友達ヒソン、彼らとブジョンの関係もよく分らない。後半描かれて、ブジョンの追い詰められた気持ちに繋がるといいなと思っていたけれど、ぼんやりしたままだった。自殺サイトでブジョンと出会ったジョンウだが、子どもを抱え苦労するヒソンともどこかで出会った事で彼女を助けるようになり、ブジョンにも紹介した、という順番かなと思った。
ガンジェが大人なのに母から「養育費」を貰っているところも不思議。
と、いろいろ分からない事があり、不満もあったのでもう一度観ようと思った。
のですが・・・・まあ、いいか
(ゆっくり見返しています。分ってみる2回目とても面白いです。なんかもう、コーヒー牛乳みても泣けてくる。お父さんとの会話なんかぼろぼろ泣けて観れない・・ため進まない)
このドラマは・・・・(夫ジョンスが言うように)
時々噴火して、よく分らなくて、孤独で、悲しそうに存在する、
遠く離れた島のような女たちと、
それを見守り、寄り添おうとする男たちの・・・
恋愛ドラマなのだ と思います。
だいたい、「何者でもない」不安、虚ろさは簡単に埋まるものではない。
だからみんな、こつこつ少しずつ頑張る。
プジョンが至った、「待ってみる」という気持ち。
それもとても必要な事だ。
(などなど、一回目の視聴で思った)
≪by MOVIE WALKER PRESS≫
タギとミンジョン(ソン・ナウン)
スンギとウナム(ヤン・ドングン)カップルのエピソードも楽しい。
夫ジョンスに付きまとうギョンウン(キム・ヒョジン)も苦労してるよ。
リュ・ジュンヨルという俳優さん
役割代行業のガンジェは、まるでカメレオンのように、見事に、求められる役割になります。
プジョンに出会ってしまった彼は、その仕事を続けられるものなのだろうかと、思ったのですが。。。何者にもなれて、自分が何者でもない事に疑問を持ちながらも、彼には誰かの期待に応えたいという気持ちがあり、寄り添える力があるひとだったのではないかと思う。
細くて冷たい目が、柔らかくなる。
感情のない無表情が、求めるものを見つけてしまった顔になる。
そこがたいへんすごい。
知らなかったけれど、いい役者さん。
≪by MOVIE WALKER PRESS≫
それで
ガンジェに寄り添うのが、亡くなったジョンウが聞いていた「ハレルヤ」(ジェフ・バックリィ盤)でした。
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全16話。いろいろな所に頭をもってかれてぐらぐらしながら観て不明なとこも多くなってしまいましたが、
自分の誇りを失った女性と、空っぽの自分を抱えた男性が出会い、役割代行業を名目に二人は寄り添うようになり、季節を越える。重いけど、とても温かい気持ちになる
とても素敵な恋愛ドラマなのでおすすめです。
(落ち込んでるひとはみない方がいいのは変わらず)
というわけで、さっそくリュ・ジュンヨル主演「梟ーフクロウー」も配信が始まっていたので観てみました。
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映画「梟-フクロウー」
올빼미
2024年公開(韓国)

梟-フクロウ-
/Amazon Prime Videoレンタル作

U-NEXT ⇑ レンタル作
≪2025年4月の配信情報です≫
あらすじ
盲目の鍼医チョン・ギョンスは病気の弟のため、宮廷の内医院に入る。体調の悪い清国から帰ったばかりの世子(王の跡継ぎ)を施術しさっそく信任される。過去清に屈辱を受けた王、仁祖に対し、世子は先進的な清にすっかり感化されていた。二人の対立は恐ろしい結果をもたらし、チョンは謀略と裏切りが渦巻く宮廷の闇に巻き込まれる。
監督/アン・テジン 出演/リュ・ジュンヨル ユ・ヘジン
感想
史実をもとに、17世紀朝鮮王朝時代の謎を大胆に映像化。
朝鮮半島では、大陸とどう付き合うかがもっとも重要だったと習った事はあったので、、前大国が滅んでしまう、そしてまた新しい大国が生まれる。接している国にとって、この間というのは本当に大変な時期に違いないと思った。
王朝内部の様子、女性の髪形や装束が美しい。韓国でとても評価された歴史大作なのですが。
感想は。。。。残念ながらあまり心に残らなかった。
自国の歴史なら観ると全然ちがうでしょうし、これは映画館の方がいいでしょう。
陰謀、裏切りが目まぐるしく展開するので、ちょっとサスペンスを追うのに必死、という感じになってしまいました。せっかくの王朝の風景。悠久の時間が流れるような空気感を感じたかった。真っ暗闇での出来事という特殊な映像になってしまうのですが、そこの表現をただうす暗闇、というのでなくもっと変わった美しさとか、ぞっとするような粒子の荒いコントラストとか、ちょっと違うのを期待してしまった。
ジュンヨルくんも、盲目の役という事であの視線表情を封印された感じ。でも、
三食ごはんイメージ強のユ・ヘジンさんの嫌~~な王がいい!
≪by Movie Walker Press≫
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