大人の恋愛映画おすすめ30選♯4「セックスと嘘とビデオテープ」自分を抑えていた人妻が自を見つめ解放していく、 ヒューマン・ラヴストーリー

「セックスと嘘とビデオテープ」　

　　Sex,Lies,and Videotape

　　アメリカ（1989年）

ずっと自分を抑えていた人妻が一風変わった夫の友人と出会い、自分を見つめ解放していく
ヒューマン・ラヴストーリー

弱冠26歳のスティーヴン・ソダーバーグ監督が自主制作し、初監督でパルム・ドールを受賞した記念碑的映画。

（もっともその後監督はスランプに陥ったそうです・・・）

現在はドラマでも活躍するジェームズ・スペイダーが出演。
久しぶりに過去の映画を観ると、すごく美青年なのでびっくりです。

でも変人ぶりもちゃんと魅せてくれる、愛すべきジェームズにとっても記念碑的作品です。

「嘘」とはなにか、「ビデオテープ」とはなんなのか、
不思議なタイトルですが、女性が自分の性を語り自由になっていく見事な作品で、おすすめです。

 映画.com 

監督・脚本：スティーヴン・ソダーバーグ

出演：ジェームズ・スペイダー
　　　アンディ・マクダウェル
　　　ピーター・ギャラガー
　　　ローラ・サン・ジャコモ

音楽：クリフ・マルティネス
撮影：ウォルト・ロイド

カンヌ国際映画祭/パルム　ドール・男優賞

「セックスと噓とビデオテープ」ネタバレあらすじ

弁護士の夫を持つアン
（アンディ・マクダウェル）は郊外の邸宅に住む専業主婦。

神経症ぎみで、かかっているセラピーではずっとゴミ問題への不安を訴えています。

夫との関係を聞かれ、最近夫に触れたくないと語ります。
以前から夫とはセックスレスなのです。

彼女がクリニックにいるその時間、夫のジョン（ピーター・ギャラガー）はランチタイムを利用し情事にふけっていました。
相手はアンの妹シンシア（ローラ・サン・ジャコモ）です。

アンは、夫が勝手に求職中の旧友を家に泊めると決めたことに、不安を感じていました。

やって来たグラハム（ジェームズ・スペイダー）は、お葬式のような地味な服装で、なにかと家族の事を聞いてきます。
彼がアンの妹の事を聞くと、なぜかジョンは突然エリザベスという昔の彼女の話を持ち出します。

アンがグラハムと部屋探しで出かけている間、ジョンはシンシアを自宅に招き入れます。

アンとグラハムはカフェで「個人的な話」を。
アンはセックスは些末だと語り、それに対するグラハムの返答に彼女は感動を覚えます。
彼は自分が性的に不能であることも、アンに伝えます。

グラハムに惹かれたアンはその夜、ジョンとのベッドを抜け出し、ソファーに眠る彼を眺めていました。

しかしグラハムは、女性にセックス、性歴、性的嗜好などをインタビューし、それを録画したたくさんのビデオテープを持っています。
その事を知ったアンはショックを受け、混乱します。

グラハムはビデオを見て、性的な満足を得ていると言うのです。

妹のシンシアはアンが止めてもグラハムに興味を持ち、彼のインタビューを受けます。
終わった彼女は生気にあふれ、すぐにジョンを呼びだし激しく求めました。

シンシアはアンを軽蔑し張り合ってばかりいました。
母親へのプレゼントを見せにきた姉に、ついいつものように「テーブルクロスみたい」という言い方をしてしまいますが、姉にきつく当たる態度は消えていました。

シンシアは、嘘にまみれたジョンとの付き合いにもうんざりし始めます。

いっぽうアンの精神状態は悪化します。
強迫的に家を掃除し続け、
シンシアが落としていったイヤリングを見つけてしまいます。

イヤリングを壊し、アンはグラハムの所に向かいます。

「セックスと嘘とビデオテープ」
ネタバレ作品解説

（AVビデオとは違うのか？）

女性が性的体験を語るビデオに性的な満足を得るグラハム。
でも、映像はAVビデオには見えません。

AVは誰かの性的対象として撮られています。

映画のビデオはグラハムとのやりとりを通し、
自分自身をみつめ言葉にした、女性自身のものの様です。

グラハムは人間関係に問題をかかえていますが、ビデオを撮る時の様子は、立派なコミュニケーションが成立しているように見えます。

コミュニケーションがあり信頼を感じるから、女性は安心して、抑圧していたり普段話す機会はない、自分の性的体験について話し、解放と共感を得て幸福な表情をみせます。

では、それで性的満足を得るというグラハムとはなんなのか？

快感を得ていると言うより、苦しそうな表情。
相手を想うやり取り・会話ができず、傷つけ傷つけられたらしい彼にとり、
（過去エリザベスという彼女と）
行為を排してコミュニケーションをとる事を続けるのは、過去への贖罪かもしれません。（推察ですが）

ビデオを撮る、という事を間に入れる事で
直接触れる行為をしない、深い関わりをしない、ようにして傷つけ傷つけられる事を避けています。

コミュニケーションをとり撮った性的な映像を観る事は、傷ついた性意識の癒しにもなる、、、のかもしれません（推察です）

（異物として影響を与えてしまったグラハム）

しかし旧友一家に突然侵入し、全員に影響を与えてしまった彼は、彼自身も語る事から逃げられなくなりました。

アンはかたちばかりに拘り、ジョンと嘘だらけの生活をしています。

それが、グラハムの登場で揺さぶられます。
ジョンと妹の浮気が確定した瞬間、無理して維持していたものが全て崩れてしまいます。

アンはもうグラハムの所にいくしかありませんでした。
崩れただけでなく、自由になった自分を彼にぶつけ、関わってしまったらグラハムの問題は自分の問題になるのだと突きつけます。

傷つけない影響されないためのビデオ撮影でしたが、結局無理だったとグラハムは認めます。
彼は肩におかれたアンの手を受け入れ、ビデオを切ります。

＊＊＊

正直になったとたん、良い関係になる姉妹の様子がとても気持ち良く、

すっかり普通の恋人同士のアンとグラハムの姿に、恋愛っていいなとしみじみするラストシーンです。

ジョンだけ相変わらずで、ちょっと可哀そうなんですが・・・

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（2021年10月）現時点での作成になりますので、各サイトご確認下さい。