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「ピアノ・レッスン」

   
  The Piano

 仏・ニュージーランド・オーストラリア合作（1993年）

原生の森とマウリの海に嫁いだ
　声を失った女性の
　　死と再生の物語

ピアノ・レッスン Blu-ray HDリマスター版

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staff &  cast

監督・脚本/ジェーン・カンピオン

出演/ホリー・ハンター　ハーヴェイ・カイテル　
　　　サム・ニール　　アンナ・パキン

音楽/マイケル・ナイマン
撮影/スチュアート・ドライバーグ

カンヌ国際映画祭/パルム ドール・女優賞
アカデミー賞/主演女優賞・助演女優賞・脚本賞

ピアノ・レッスン　あらすじ

1852年スコットランド、6歳で声を発する事をやめたエイダ・マクグラス（ホリー・ハンター）は、娘のフローラ（アンナ・パキン）をつれてニュージーランドに嫁ぎます。
声を出せなくてもエイダに不自由はありませんでした。ピアノが彼女の声だったからです。

エイダとフローラは荷物と一緒に新天地におろされ、夫の迎えが遅れたため、荒波が打ち寄せる浜辺で夜を明かします。

マウリたちと現れた夫アリスディア・スチュアート（サム・ニール）は、人手が足りないためエイダの頼みを聞き入れず、運んできたピアノを浜辺に残します。
ぬかるむ山道で重いピアノを運べなくて当然でしたが、「声」を奪われたエイダは彼に心を開く機会を奪われてしまいました。

スチュアートの留守中、エイダはマウリのようなタトゥーをした隣人ベインズ（ハーヴェイ・カイテル）に、浜辺に連れていってくれと頼みます。
波をバックにピアノを奏で、まったく違う表情を見せるエイダにベインズは魅了されました。

彼は自分の土地とピアノの交換をスチュワートに持ち掛けました。

エイダは怒りますが、土地が欲しいスチュアートはベインズの話にのり、エイダには彼にピアノを教えるよう命じます。

ベインズはエイダにピアノを好きに弾かせるだけで習おうとせず、彼女の首すじにキスをしてきます。
驚くエイダですが、希望を聞いてくれたら鍵盤を一つずつあげようという、ベインズからの取引に応じます。

そんなベインズですがピアノと引き換えにエイダの身体を得る事に罪悪感を抱き、結局ピアノをスチュアート家に返し、叶わないエイダへの想いに苦しみます。

エイダはベインズを求め、彼の家へ走ります。

ピアノ・レッスン　あらすじと解説
※最後までネタバレしています！未視聴の方はご遠慮下さい

スチュアートは少年のように期待に胸を膨らませて、エイダを待っていました。しかしエイダの「声」であるピアノを運ばなかった事が、彼女との関係を決定付けました。

ベインズはエイダの素晴らしさを知り、彼女のとりことなり彼女を求めます。
エイダも、自分を真っすぐに欲するベインズに応えていきます。

声を失ったエイダは、大きな力をその体内に秘めています。
ニュージーランドの原生の森とベインズの存在は、彼女の欲望を解き放ちます。

スチュアートはエイダを抱きたいと願いながら、その欲求は叶えられず狂わされていきます。
ベインズに会えないようエイダを家に閉じ込めますが、彼女は夢遊病のようにピアノを弾き、ピアノを撫でる仕草でスチュアートの身体をまさぐります。
そんなエイダの行動に、スチュアートはおびえるように身体を強張らせます。

数日後、スチュアートは閉じ込める事をやめ、エイダを信じて出かけました。

しかしエイダのベインズへの想いが変わらない事を知り、ついに悲劇が起きます。

スチュアートは、「抑える事ができない自分をここから去らせて」と願う、エイダの声を感じ取りました。
初めてエイダの気持ちを聞く事ができたスチュアートは願いを聞き入れ、ベインズとピアノと共に旅立たせます。

漕ぎ出した船は、マウリの歌に送られ、まるで葬送の列のようでした。

ベインズはピアノが必要だろうと思い、船に無理に乗せましたが、エイダは壊れている捨ててと頼みます。
マウリも、これは棺桶だ海に葬ろうと言います。

ピアノは海に落とされます。

自分を解き放ったエイダもピアノと一緒に自分を葬るように、わざと縄に足をからませ、海に落ちていきます。

エイダは無音の深海を見つめました。

しかし最後、彼女は生きる事を選択をし、足の縄をほどいて海面に向かって浮き上がりました。

＊＊＊

作中、土地を買い資産を増やそうとするスチュアートに対し、自然とともに生きるマウリの言葉は対照的ですが、全体ではいかにも未開の民のように描かれています。

しかし最後の最後、船にエイダを乗せ力強く漕ぎ出した彼らは、まさしく大海を自由に行き来したポリネシアの民です。
浮き上がるエイダを助けるため海に飛び込んだマウリたちの身体が、彼女の強さに呼応するように、たくましく海水を掻いています。

ラグビーのワールドカップでは伝統のハカを披露したマオリの力強さを、エイダ再生のシーンで見る事ができた気がしました。

ニュージーランド出身のカンピオン監督ならではの作品です。

そして、エイダ役を勝ち取りピアノを聴かせてくれたホリー・ハンターに、
素晴らしい音楽を作ってくれたマイケル・ナイマンに、

感謝したくなる作品です。

「ピアノ・レッスン」視聴方法

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ピアノレッスンのまえにこの作品があったのでした。関連は最後だけかな、おおおってなる!
ホリー・ハンター出演、オードリー・ヘプバーン最後の出演作です。

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